そもそも、野球にはなぜピッチャープレートがあるのかということを考えていきましょう。

 

まず、ルールブックを開けてみると【2.00競技場 2.01競技場の設定〈1.04〉】というものがあり、その中に「(中略)内野の中央付近に投手板をホームプレートより25.4cm高い場所に設け、投手板の前方15.2cmの地点から本塁に向かって182.9cmの地点まで、30.5cmにつき2.5cmの傾斜をつけ、その傾斜は各競技場とも同一でなければならない」とあります。このことによって野球場の内野の中央付近にピッチャープレートを作ること、ホームベースより25.4cm高くすることが決められています。

余談ですが、傾斜はどの競技場も同一でなければならないと決まっていますが、ピッチャーによって投げやすいマウンド、投げにくいマウンドがあるという話はよく聞きます。傾斜は同じでも感触や雰囲気、景色などで変わってくるのでしょうか。

 

 

さてピッチャープレートが競技場に設置されている理由はわかりました。

次はどのように使わてれいるかですが、これもルールブックに記載されています。

【5.00試合の進行 5.01試合の開始(b)】にこう記載があります。「〈5.03〉まず、投手は打者に投球する。その投球を打つか打たないかは打者が選択する。」つまり、試合が開始されると、ピッチャーはバッターに「投球をする」ことになります。

 

では「投球」とはどんな行為なんでしょうか。

これもルールブックに記載があります。【5.07投手〈8.00〉 (a)〈8.01〉正規の投球姿勢】「投球姿勢にはワインドアップと、セットポジションの二つの正規のものがあり、どちらも随時用いることができる。投手は投手板に触れて捕手からのサインを受けなければならない。」

 

つまり投球には二種類の姿勢があり、どちらを使っても良い、ということになります。また、「投球」前のサイン交換はプレートに触れなければならないということも書かれています。

さらに二つの投球姿勢についても記載されており、ワインドアップについては【5.07投手〈8.00〉 (a)〈8.01〉正規の投球姿勢】の(1)に、セットポジションについては同じ【5.07投手〈8.00〉 (a)〈8.01〉正規の投球姿勢】の、(2)に載っています。ワインドアップポジションについては「投手は、打者に面して立ち、その軸足は投手板に触れて置き、他の足の置き場所には制限がない。(後略)」とあり、セットポジションについては「投手は、打者に面して立ち、軸足を投手板に触れ、他の足を投手板の前方に置き、ボールを両手で身体の前方に保持して、完全に動作を制止した時、セットポジションをとったとみなされる。(後略)」とあります。それぞれの投球姿勢を説明していますが、どちらも軸足でピッチャープレートに触れている状態から投げることが投球姿勢となっています。

つまり、「投球」とは、投手が軸足をピッチャープレートに触れ、そこから動作を開始することです。そして、試合を開始するためには「投球」をするので、ピッチャープレートから野球が始まるともいえるわけです。少し大げさですが、ピッチャープレートの意義はわかっていただけたのではないでしょうか。

 

 

さらに私がピッチャープレートが重要だと考える要因は、投球を行うピッチャーは地面から受けた力を利用して強い球を投げようとします。投球はプレートに触れて行うもの、ということは地面から力を受ける地面以外の唯一の道具がピッチャープレートになるわけです。強い球を投げたりキレッキレの変化球を投げるためにはピッチャープレートを有効に使うことが必要です。

 

ピッチャープレートは、ホームベースや塁ベースと共に専用球場には必ずあります。もちろん専用球場以外の場所でも野球はできます。

ホームベースや塁ベースは、野球というスポーツの性質上必ず用意されますが(小さいころに原っぱや河川敷などで野球をやるときにも帽子やグローブ、何もないときは地面に書いて用意してました)、なぜかピッチャープレートは用意されずに行われることも多いです。なぜでしょうか。ピッチャープレートが重要なことはお判りいただけているだけに、ホームベースなどと一緒にピッチャープレートも用意してほしいものです。

 

持ち運びできるピッチャープレートがあればいいですね。

ここからは今の野球場やグラウンドの現状を考えていきます。

ピッチャーからホームベースまでの距離は、少年野球、学童野球やリトルリーグ、還暦野球、ソフトボールで距離が異なり、一般の野球とは違っています。

 

また、専用球場なども少なく、学校のグラウンドや河川敷などで練習することも多々あります。その時には石灰でプレートを表現したり、わざわざ地面を掘ってプレートを埋め、練習後にまた取り出すということも行われています。

草野球のグラウンドに至っては、プレートがエアーズロックのように前面が掘れてしまっているところもあります。

ピッチャープレートのサイズについては学童・少年用と一般用で大きさが異なります。また、リトルリーグも大きさが少し違いますが、兼用する場合もあるようです。

カテゴリー ピッチャープレートの大きさ(横×縦)
少年・学童 51cm×13cm
一般(中学生以上) 61cm×15.2cm
リトルリーグ 45cm×10cm